Madam toad's blog

オカシイのは私ではなく、この世界。

カエル LOVE ❤️

 春ですのぅ。。。

 

今年、2018年のカエル合戦も、都内はほぼ終了したようで。

 

うちの実家、調布の某所でも3月初旬に一気に盛り上がっていたようで。

昔に比べたらもだいぶ減りましたけどね。まだ二桁からのカップルが産卵しに来てくれるのは、ありがたい話。

 

これは、雌4、5匹分かな?↓

f:id:Madam_toad:20180319160235p:plain(2018年3月7日撮影)

卵塊と呼ばれますが、ヒキガエルのそれは紐状で、大型の個体だと左右の卵巣から2本づつ棒状の数千個からの未受精卵の詰まった紐を、産みだします。

そこに背中に乗っかって抱きついてる雄(専門用語でいう"抱接"amplexus)が放精するわけです。

 

そう、※交尾はしてません!!!!

f:id:Madam_toad:20180319162436p:plain(2014年3月撮影)

よく、誤解されるけど、"入ってない"から!!!!f:id:Madam_toad:20180319173829p:plain(2015年4月撮影)

 

 

 

 

f:id:Madam_toad:20180319161844p:plain(2018年3月7日撮影)

↑コレは、カップルにもう一匹の雄が無理やり絡んでる様子。左のはその間男?のケツですね(専門的に雄による"ハラスメント"と言われます。そう、harassment!!)。

f:id:Madam_toad:20180319174051p:plain(2009年3月撮影)

ヒキガエルの繁殖風景ではよくあること。...微笑ましい光景ですね❤️

 

あーまぁそのもっとその、すごいことになることも珍しくなく、

例えば↓4、5匹の雄が集ってたり

f:id:Madam_toad:20180319175140p:plain(2009年3月撮影)

 

コレ↓なんかさらにヤバイver.というかもーどうなってんのかわかりませんが❤️、中心部にメスがいます。場所は調布じゃなく駒場で。ここではかつて500以上の個体による壮大な「カエル合戦」が観察されました。 

f:id:Madam_toad:20180319174339p:plain(2015年2月撮影)

 

 

 

ところで、

 

なんで1匹の雌に対し、多くの雄が集るのか?

て疑問が湧くかもしれません。

 

がそれは、雄が余ってるからです。

だいたい、雌雄比でいうと、雌:雄 = 1:3 〜 5 くらい。

 

なんで?? かといいますと〜、、、

雌の個体数が雄に比べもともと少ないのではなく、

「婚活への参加比」によるものです(専門的には"実効性比 = operational sex ratio"という)。

これには大きく分けて2つの要因があり:

まず第一に、性成熟に至るまでが、雌の方が時間がかかるから。平均して雄が3年に対し、雌が4年と、雌の方が生殖可能になるまでの時間がかかるようです。

そして第二に、生殖の頻度です。産卵に来るのが隔年で、産卵を終えれば池から去っていく雌。コレにに対し、毎年池にやって来て、滞在日数も長い雄非モテはチャンスを狙いづつけるし、強い雄は1匹以上の雌とカップリング可能、つまり時間差一夫多妻を狙える)。池にくるのは、雌は2年に1度、一晩。雄は毎年、数日〜10日ぐらい。そんな感じでしょうか。

 

なので、婚活会場では常に雌不足。それで、「カエル合戦」が起こるわけです。

 

そう、ヒキガエルの婚活会場では、常に女の子が不足してます。まぁ、人間含め、基本的に、動物界はそういうもん。

要するに、卵に対し精子は余ってる。それだけ。余ってる方は競争が強くなる。だから雌間競争より雄間競争は強い傾向にある。...しかし、争いにはコストがつきまとう。なので!!雄側もそれを避ける機構も進化させてたりして...またそこが非常に面白いのだけど。今回はそこまで言及しません。

 

 

 

で、その「カエル合戦」では

 

ときおり、死者が出ます

 

雄同士の争いに巻き込まれた雌が、溺れ死んでしまうことがちょくちょく・・・・

 

かわいそうに。

 

 

先日も、立ち寄った都内某所の池で、ご遺体がありました。

幸い、管理人さんとお話しでき(実は挙動不審な私への注意喚起がキッカケw)

回収を頼まれたので、彼女を弔うことができました。

f:id:Madam_toad:20180319171746p:plain

 

f:id:Madam_toad:20180319171652p:plain

産卵中に、絶命してしまったみたい。

かわいそうだなぁと思うけど。雄の方もわざとじゃないから、仕方ないといえば仕方ないことで.......激しい「カエル合戦」だったのでしょう。

 

 

 

安らかに眠ってください。

 

 

 

 

f:id:Madam_toad:20180319160402p:plain

 

 

 

 

 

参考文献

ヒキガエルの生物学 (1987). 浦野明央・石原勝敏 編著 裳華房

Hase, K., & Shimada, M. (2014). Female polyandry and size-assortative mating in isolated local populations of the Japanese common toad Bufo japonicus. Biological journal of the Linnean Society, 113(1), 236-242.