Madam toad's blog

オカシイのは私ではなく、この世界。

『さらに試行せよ。 何が可能かを知るために。』

尊敬する科学者の言葉。

もともと名前だけは知っていたけど、詳しく知る機会は大人になるまでなかった。

研究をするようになって、改めてこの大科学者マイケル・ファラデーに心から敬意を抱くようになった。

 

マイケル・ファラデー - Wikipedia

 

ま、分野違いますから。ここのこの研究ガーこの論文ガー、とか、そういう性質のものではないわけですが。

それでも、やはり最も尊敬する科学者として名前をあげるなら、この人。

 

一番驚いたのは、ファラデーが高等教育を受けておらず、貧しい家庭の出で、小学校でさえ卒業していないということを知った時。

それと、業績がとんどもなくすごいだけでなく、一般市民への科学知識の普及、教育に熱心でもあったこと。

今でこそ色々なところで「市民講座」なり「サイエンス・カフェ」なり、科学者、研究者の一般向け講演は多いが、その祖ともいえる「クリスマス・レクチャー」で伝説的名講演「ロウソクの科学」を行っている。

クリスマス・レクチャー - Wikipedia

また今でいう環境問題への関心も高く、市民の要望があれば積極的に協力していたとか。反対に軍事研究への協力は断固として拒否したとか・・・とにかく「神」感がパナい。

 

 

と言っても、確かに私のやってるマクロ系生物学は、電磁気学や物理化学の分野とではだいぶやってること、研究目的、手法、色々違う。

 

それでも、

やはり学ぶことはたくさんある。

それは、ファラデーが極めて優れた実験家で、実証主義に立ちながら、同時に時代の先を行く理論の礎を築いた、という点。ここがもう感動ものなのだ。

私は大学院時代からずっと実験してるが、学位を取る頃、フィールド仕事や、特に実験作業からは、そろそろ卒業したいと思っていた。

その一番の理由は、体力的な限界を感じていたから。

それともう一つ、カエルのことしててもカエルのことしか言えないし、結局、進化メカニズムの一般理解なんか到底できない。それなら無理してアカデミズムにしがみつくより、需要のある仕事をして生活の安定を図りたい。

逆に研究を続けることができるなら、もっと基礎科学的な、自然科学として普遍性の高い仕事がしたい。

そんなことを考えていて、体力がいる上に地味で根気のいる(しかも高額な研究費がかかる)実験やフィールドからは少しづつ引退して、データ解析やモデリングとか、デスクワーク中心にシフトしたい、て考えていた。

こう、まぁ何甘いこと言ってんだ!て感じだけど。ただまぁ、博士論文仕上げた頃はもう、体力的な限界を感じてて。まぁ若くないからね。それに生活の不安とか、研究以外のことで色々と心労も重なり、...うん、疲れ切ってたんですね。

 

そんな迷いののち、改めて、これからも実験を続けて行く決意に至った。

不思議なことに、新たな実験を始めると、新たな疑問が湧いてくる。特に面白いのは、実験から得られた結果と新たな疑問とが、過去の経験・知識と有機的に結びついて、なるほどそういうことだったのか!みたいな「閃き」をくれるところ。

 

やはり、私は観察と実験による検証を軸とするスタイルを貫こう!

そう改めて思ったことに、マイケル・ファラデーの生い立ち、性格等を知ったことは、少なからず影響している。

 

私は思考の大半を映像に頼るタイプなので、ちゃんと言語化できないことがたくさんある。

人付き合いも苦手だし、目立ちたくないのに目立ったり、ちょっと変わってるだけで過剰に変人扱いされるこの社会と、どう折り合いをつけていけばいいのか未だにわからない。。。

 

 

すべてのものは、遅かれ早かれ、間違いなく終わりにくるものではありますが(中略)皆さんに申し上げることのできるすべては、皆さんが皆さんの時代がきたとき、1本のロウソクにたとえられるのにふさわしい人となっていただきたいということ、そしてまた、皆さんがロウソクのように皆さんのまわりの人々に対して光となって輝いていただきたいということ、(中略)皆さんの行為を栄光あり、かつ効果あらしめることによって、ロウソクの美を正当化していただきたいということの希望であります。(ファラデー 著・三石巌 訳「ロウソクの科学(角川文庫)」より)

 

うん。

余計なこと書いても仕方ない。今の私にはこの言葉だけで十分だ。

 

 

来年もがんばろう。

いや

来年は今年よりもっと、サイエンスしよう!

 

ロウソクの科学 (角川文庫)

ロウソクの科学 (角川文庫)